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ライ / 一輪挿し / ∅145 × 80
ロナン&エルワン・ブルレックの最初期の仕事に、わずかに傾いた一輪挿しがあります。学生だった私は書店で開いた本の中にそれを見つけ、とても感心しました。彫刻的なフォルムと複数を連結させるアイデアがその製品の魅力であることは確かですが、私の心を掴んだ一番の個性は「傾いている」ということでした。そこに生けられた草花が心地よくくつろいでいるかのようで微笑ましかったのです。否応なく直立を強いる従来の一輪挿しに、人間本意な、ある種の傲慢さを感じてしまう程でした。
傾きのみに焦点を絞り、私なりのアレンジを加えて一輪挿しをデザインしました。立ち上がったパイプの下に伸びた影とリングの接点をわずかにカットしてみると、シンプルですが独特の詩情が備わりました。この時わたしは、デザインの目的を人間以外に捧げる方法があることを学びました。ドローイングの最中、偶然に出会ったマン・レイの『影の習作』という絵画は、私にフォルムのインスピレーションを与えました。
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